
平成28年に起こった振り込め詐欺の被害件数は13605件、被害総額は375億円にものぼります。
これは認知されている件数や金額のみで、事件として挙げられていないものを含めるとその倍以上にも達するのではないかとも言われています。
もはや他人事ではない振り込め詐欺から自分の両親や祖父母を守るには、どのようにすれば良いのでしょうか。
振り込め詐欺の種類と狙われやすい家族とは?

一口に振り込め詐欺と言っても、子供や孫を装って困ったことが起きたので助けてほしいと金銭を要求する「オレオレ詐欺」、
身に覚えがない金銭を請求され支払わなければ裁判沙汰になると持ちかける「架空請求詐欺」、
ハガキやFAX、DM(ダイレクトメール)などで融資話を持ち掛けて、融資に先立って保証金を支払うように仕向ける「融資保証詐欺」、
自治体や税務署の名を語り医療費や税金の還付や年金の未払金があると持ちかけて、ATMで手続きをするように仕向ける「還付金詐欺」などがあります。
詐欺に狙われやすいのは主に高齢者や女性だと言われており、家にいる時間が長い、昼間は1人で家に居ることが多い、相談相手が近くにいない、といった理由から狙われやすいとされています。
詐欺を未然に防ぐためには、自分の親や祖父母は大丈夫と過信せずに対策を考えることが重要です!
まずは知らせることから始めよう!

振り込め詐欺の手口は年々複雑化し、様々な理由をつけてお金を振り込ませようとします。
詐欺だと知らない人が話を聞けば、相手の話を信じてお金を振り込んでしまうことがあります。
まずはそういった「巧妙で悪質な詐欺がある」ということを、両親や祖父母に知らせておく必要があります。
日頃から振り込め被害について話し合うことが何より大切です。
簡単なことから始めよう!

まずは電話機の設定など周りの人がしてあげられる簡単な対策を徹底しましょう!
具体的には、電話機のナンバーディスプレイの表示です。
家族や親戚など主要な番号を登録し、ディスプレイに人名が表示されない番号からの電話は一切出ないようにするなど、取り決めをしておきましょう。
高齢者が1人でいる時は、常に電話をすべて留守番電話に設定して電話が鳴っても出ないように約束する、という方法もあります。
合言葉を決めて、どんな時もまず初めにその合言葉を伝え合い、本人かどうかを確認するというルールを決めておいても良いでしょう。
合言葉は忘れないように電話機の近くに書いて貼っておくと安心です。
他にも、お金のやり取りは絶対に電話や代理人とはしないというルールを決める方法もあります。
お金のやり取りをする時は、必ず本人と向かい合って行うということを徹底しましょう。
家族からの電話の場合は、かけ直してから話す習慣をつける方法もおすすめです。
どんなに相手が「急いでいる」と言っても、そのルールは変えないことを約束しましょう。
最新の電話機は詐欺対策も進んでいる!
非通知の相手や公衆電話からの電話を着信音を鳴らさずに、着信拒否することができる電話があります。
着信音が鳴らないため、「間違えて受話器を取ってしまった」ということが防げます。
過去に使われた迷惑電話番号の情報を使い、あらかじめその番号からの電話を自動で着信拒否できる「迷惑電話フィルタサービス」という機能が搭載された電話機もあります。
迷惑電話として登録されている番号は、悪質かつ長く詐欺を行っているだまし慣れた番号であるとも言えるので、初めから拒否できると安心ですね。

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おすすめなのは、通話を録音する旨を、はじめにガイダンスで流してくれる電話機です。
電話機に付いているボタンを押すと、電話をかけてきた相手に通話が録音される旨をガイダンスで伝えてくれます。
友人や家族など、一般的な用事で電話をかけてくる相手は録音されても良いはずなのでそのまま通話に移りますが、詐欺電話の場合は通話録音が詐欺の証拠になってしまうため、ガイダンスが流れる時点で通話を切ってしまうことが多いものです。
また、万が一詐欺と思われる電話に出てしまった場合に備えて、男性の声にボイスチェンジ出来る機能や、チャイム音を流して電話を切るタイミングを作れる機能が搭載されている電話機もあります。
しかし、電話機本体を買い替えてしまうと、高齢者の場合操作を覚えるので精いっぱいなのでは…と心配な方には、今ある電話機に接続して使用するタイプの録音アダプターがおすすめです。
電話をかけた側には会話が録音される旨が流れ、通話の録音が始まります。
万が一被害に遭ってしまった場合は通話内容を証拠として警察や銀行に提出することができます。
どうしても心配な場合は?

過去に振り込め詐欺被害に遭ったことがある場合や、どうしても被害に遭いそうで不安な場合には、使える通帳の預金残高やクレジットカードのキャッシング枠を0円にしておく、ATMの利用限度額を引き下げるといった方法もあります。
少々荒っぽい対策になるため、行う場合には家族でよく話し合うことが大切です。
対策をするのは高齢者だけじゃない!

自分の両親や祖父母と話し合って対策をすることも重要ですが、万が一被害に遭ってしまった場合に備えて、私たちで対処法を知っておくことも大切です。
2008年に「振り込め詐欺救済法」が施行されたのはご存じでしょうか?
金融機関が振り込め詐欺等により資金が振り込まれた口座を凍結し、 預金保険機構のホームページで口座名義人の権利を消滅させる公告手続を行った後、 被害者の方から支払申請を受け付け、被害回復分配金を支払うことなどが定められています。 被害者の方へ分配される額は、振込先口座が凍結された時の残高が上限となります。 被害額の全額を国や金融機関が補填するというものではありません。(引用:furikomesagi.dic.go.jp)
被害金の支払いは、口座が凍結された時の残高が上限となるとのことなので全額返金されることは難しいですが、何も手続きをしないままでいると預金が0円になってしまいます。
被害に気付いた時は、いち早く対策を打つことが重要です。
申請には振り込みの事実を確認できる資料が必要となるため、前述したような通話の録音記録が大切になるのではないでしょうか。
以上、振り込め詐欺に遭わないための対策や対処法をご紹介しました。
家族が密に連絡を取り合い、詐欺について日ごろから話し合っておくことが詐欺被害に遭わないためには最重要です。
これを機に、遠く離れた両親や祖父母と連絡を取ってみませんか?